銃 (2018):映画短評
銃 (2018)村上虹郎とリリー・フランキーの演技対決は見もの!
一見したところ平凡な大学生が、たまたま夜道で一丁の拳銃を拾う。人の命を奪うことが出来る道具を手にしたことで、にわかに主人公の心に芽生える根拠のない自信や優越感。それがいつしか過去のトラウマと結びつき、やがて間違った正義感を暴走させることになる。人間は誰もが過ちを犯す弱い生き物だ。そんな普通の人が武器を持つとどうなるのか。その危うさを細やかな心理描写を交えながら淡々と静かに描いていく。モノクロームの映像が鮮やかに意味を成すクライマックスは秀逸。大胆不敵な中に繊細さと脆さを覗かせる村上虹郎と、全てを見透かしたように立ちはだかる刑事リリー・フランキーの、ヒリヒリするような演技対決も見ものだ。
この短評にはネタバレを含んでいます