台北セブンラブ (2014):映画短評
台北セブンラブ (2014)ライター2人の平均評価: 3.5
台北のスタイリッシュな街角が目を奪う
主役は、台北のスタイリッシュなデザインと鮮やかな色彩の街。デザイン事務所で働く男女の恋愛模様を描いているが、どんな出来事が起きても、それよりもその背景となっている街ーー彼らが歩いている通り、彼らが会っているレストランが、その形と色で存在を主張して見る者の目を奪おうとする。
映画は、そういう街で暮らすとはどういうことなのかを描いていく。クールにデザインされた街で、デザインというファッショナブルな仕事をするデザイナーたちを、カッコよくは描かない。彼らは恋も生活も思った通りにデザインすることはできず、しかし街の通りはいつもクールでスマートだ。
トレンディドラマ風だけど、恋愛の核心をついてます
ここ数年の台湾におけるデザイン進化は目を見張るものがある。そのデザイン文化と恋愛を融合させたアイデアにまずニヤリ。しかし舞台設定や人物設定がスタイリッシュという単なるおしゃれ映画ではなく、恋愛の機微や残酷にも感じられるリアルな現実をしっかりと描く演出に引き込まれる。現代の若者像や彼らの考え方が伝わってくる軽妙な台詞の応酬も素敵で、これぞ脚本の妙と感服。また男女7人の心理描写が実にセンス良く、チェン・ホンイー監督作はこれが初めてだが、もっと見たいと思わせる。ただし挿入される舞台裏話は不要な気がした。モテ女ドロシーを演じたアン・シューの“絶世の美女”じゃない、抜けた感じが高感度大。