サマー・オブ・84 (2017):映画短評
サマー・オブ・84 (2017)ライター3人の平均評価: 4
ひと夏の恐怖体験が生涯消えぬトラウマを残す
時は’84年の夏休み、場所は郊外の閑静な住宅地。少年ばかりを狙った誘拐事件が世間を震撼させる中、隣人の警察官が連続殺人鬼ではないかと疑った15歳の少年デイビーは、同級生の仲間たちと共に冒険感覚で真相を探り始めるのだが、しかしこれが生涯消えることのないトラウマ体験となってしまう。『E.T.』や『グーニーズ』、『ドラキュリアン』といった’80年代キッズ・ムービーを彷彿とさせる、甘酸っぱくてワクワクするようなノスタルジーを漂わせつつ、『ハロウィン』や『13日の金曜日』ばりのマジで怖いホラー映画に仕上がっているところがいい。ジョン・カーペンター風の音楽スコアにもニンマリ。
夏休みトラウマ映画の決定版!
『スタンド・バイ・ミー』と同じ、オレゴン州を舞台に“死の匂い”に魅せられた少年4人の成長物語ということで、作り手の狙いはもちろんスピルバーグやスティーブン・キング作品などの80年代ジュブナイル映画、スラッシャー映画へのオマージュだ。とはいえ、『ターボキッド』の監督チームなので、仕上がったものは『エクスプロラーズ』や『ザ・ゲート』寄りなのが面白く、予算たっぷりの「ストレンジャー・シングス」と比べても、モノ足りなさが逆に味わい深い。映画に関する小ネタアリ、甘酸っぱい初恋アリだが、特出すべきはトラウマ必至のオチ。そんな作り手の性悪っぷりをどう捉えるか?という挑戦的な一作である。
少年時代の終わり、大人の悪夢の始まり
スピルバーグ関連作『ディスタービア』の変奏バージョンで、作りはアンブリンの80年代青春サスペンス・アドベンチャー風。しかし、それは映画のルックだけで、物語は一筋縄ではいかない。
隣人を連続殺人犯と疑い、仲間たちと調査に挑む少年。そんな冒険はもちろんスリリングで、なおかつドラマの上で彼を成長させるのだが、同時に親世代の離婚という容赦ない現実も、大人になるための通過儀礼のように提示される。
そんなシビアな視点ゆえか、明るく楽しいアンブリン的な展開には収まらず、予想外の結末へ。公式を逸脱したそれは議論を呼ぶところだが、大人社会の闇を背景にしている以上、これはこれでアリではないか。