映画 ひつじのショーン UFOフィーバー! (2019):映画短評
映画 ひつじのショーン UFOフィーバー! (2019)ライター3人の平均評価: 3.7
長編劇場版第2弾は名作SFのパロディが満載!
アードマン・スタジオによるストップモーション・アニメ『ひつじのショーン』の長編劇場版第2弾。今回は地球に迷い込んだキュートなエイリアンの赤ちゃんを、ショーンと仲間たちが故郷の星へ戻すべく大奮闘&珍騒動を繰り広げる。ということで、『E.T.』の基本プロットを拝借しつつ、『未知との遭遇』や『2001年宇宙の旅』などのパロディが散りばめられる。幼少期のトラウマが原因でエイリアン捕獲に執念を燃やすスーツ姿のエージェント・レッドは『Xファイル』モルダーの女性版か。『ドクター・フー』のダレクやドクター(トム・ベイカー版)まで登場するのはさすがイギリス映画。ほのぼのとしたユーモアが相変わらず魅力だ。
さすがアードマン、英国産SF自慢も忘れない!
CGではなく、実際に粘土で作った人形を動かして撮るクレイ・アニメの魅力は、なんといってもその"手触り感"。特に「ひつじのショーン」シリーズは、羊たちのモフモフな毛の柔らかな質感がポイント。それだけで幸せな気持ちにしてくれる。
さらに今回はSF。「未知との遭遇」「2001年宇宙の旅」「X-ファイル」「MIB」と、このジャンルの名作のオマージュ満載なだけじゃなく、さすが、英国ブリストルが本拠地のアードマン・アニメーションズ、英国が誇るSFネタをきっちり入れ込んでいる。「ドクター・フー」からはアレが登場。ダグラス・アダムスの「銀河ヒッチハイク・ガイド」の小ネタもチラリ。そんな英国風味もオイシイ。
86分間の奇跡
『ウォレスとグルミット』シリーズもそうですが、アードマンスタジオのジャンル映画への愛情の深さには驚かされるばかり。
本作に練りこまれたサスペンス、SF、アクションなどのジャンルへのオマージュの数々は見ていて幸せになります。
それがまた、ほとんどセリフもなく文字情報もごくわずかでもちゃんとわかるように作られている。
大きな声で笑え。ほろっと感動もさせてくれる。
この唯一無二のアニメーション文化は永遠に続いてほしいところです。
今日、この瞬間も粘土と愛がこねられています。