感染家族 (2019):映画短評
感染家族 (2019)ライター2人の平均評価: 4
古今東西ゾンビ映画のオマージュ大会
明らかに、劇中のスマホ映像で登場する『新感染』のフォロワーではあるが、若返る父親役のパク・イナン出演の『クワイエット・ファミリー』など、韓国映画お得意のブラックな家族ドラマと見事に融合。高齢化社会にメスを入れた新種のゾンビ映画ではあるが、『ランド・オブ・ザ・デッド』に『ウォーム・ボディーズ』、さらには『ロンドンゾンビ紀行』『香港ゾンビ』まで、愛を感じる古今東西ゾンビ映画のオマージュ大会でもある。また、前半のほのぼのムードから一転、後半のパンデミック田舎ホラーに突入する緩急のバランスに、爽快感溢れるラスト。本作が初監督・脚本作となるイ・ミンジェの今後に期待したい!
現代社会の貧困と高齢化を風刺した痛快なゾンビコメディ
これは目の付けどころが面白い。中年のオッサンが若者と呼ばれる、日本と同じく高齢化の深刻な韓国のド田舎で、貧困家庭の隠居老人がゾンビに噛まれてしまうものの、なぜかゾンビ化せず精力ビンビンに若返ってしまう。これを見た家族は一獲千金のチャンス!とばかりに「ゾンビビジネス」を開始。村中の老人やオッサンが若返りを求めて殺到するのだが、やがて阿鼻叫喚のゾンビ大パニックが引き起こされてしまう。まさに窮すれば鈍する。貧困と無知ゆえにモラルを失った人々の愚かさを痛烈なブラックユーモアで笑い飛ばしつつ、後半は極限状態における普遍的な家族愛やヒューマニズムが問われていく。笑いも恐怖も感動も手抜きがない。