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キューブリックに魅せられた男 (2017):映画短評

キューブリックに魅せられた男 (2017)

2019年11月1日公開 94分

キューブリックに魅せられた男
(C) 2017True Studio Media

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

ミルクマン斉藤

天才にとことん頼られた映画人から見た天才。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

『バリー・リンドン』においしい役で起用されながらも、“天才”キューブリックの映画術に魅了されて俳優業を投げやり、彼のアシスタントになった男、レオン・ヴィターリの物語。過去の俳優としての美麗な容色と、ただ老いただけではない現在の姿を並べるとまるで別人のようなのだが、その落差こそが“天才”にかしずき続け、やがて一心同体となった裏方“フィルムワーカー(これが原題)”の業を鮮烈に見せつける。客観的に見れば完全にパワハラ関係なのだが、いっぽうキューブリックは彼に多くのクリエイティヴな面を依存してもいて、おそらく無自覚だろうけどその人たらしなところにハマってしまった従属者なりの美学が興味深い。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

名作の陰には天才を機能させた献身と忠誠心があった

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

予告編や字幕へのこだわりも半端なかったスタンリー・キューブリック監督を長年にわたって支え続けたレオン・ヴィターリの献身と忠誠心に涙がこぼれた。『バリー・リンドン』ではスターだったレオンが裏方に転向し、監督のアシスタント兼なんでも屋として作品に多くの貢献をしたにも関わらず何の栄誉も求めないのはなぜか? 自身を映画労働者と言い切る彼のキューブリック愛から見えてくるのは監督のリアルな姿であり、名作誕生の実態。映画ファンなら必見だろうし、キューブリック作品を新たな視点で見直す役にも立つはず。天才のビジョンは一夜にしてならず、というか天才を機能させるビロウザラインの存在を再確認した。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

人間というものの不可解さ、面白さ

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 キューブリックに関するドキュメンタリーを見るつもりて見始めたが、主人公の人生が強烈すぎて、その方に意識を奪われてしまった。将来を嘱望された俳優が、ある監督の映画に出会って心酔し、「私は監督に仕え、監督は映画に仕える」と決意、後の人生の全てをこの監督の映画製作のために捧げる。監督の要求は過酷で、主人公は疲弊し衰弱し誰にも評価されないが、老いた今も「幸せだ」と微笑むのだ。その情熱の凄まじさ。
 同時上映の「キューブリックに愛された男」では、キューブリックが映画に興味のない運転手件雑用係にだけ、意外な一面を見せる。監督の身近にいても映画と無関係ならダメージを受けない。2本見るとより面白い。

この短評にはネタバレを含んでいます
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