WEEKEND ウィークエンド (2011):映画短評
WEEKEND ウィークエンド (2011)ライター2人の平均評価: 3.5
ゲイならずとも共感できるテーマを孕んだ繊細なラブストーリー
ブリティッシュ・ニューウェーブ映画のロケ地としても知られる街ノッティンガムを舞台に、とある週末のバーで知り合ったゲイの若者2人の出会いと別れを描く。なんとなくノンケ社会と折り合いを付けながら目立たないように暮らすプール監視員と、ゲイへの偏見が今なお少なからず残る世間へ対して強い不満を抱えた怒れる芸術家。まるで対照的な2人の愛と葛藤を通して、必ずしも理想的とは言えない社会で己のセクシャリティとどう向き合うべきか、自分らしい人生を偽りなく生きるためには何をどうすべきなのかが問われる。これはゲイならずとも思うところのあるテーマであろう。見る者それぞれの答えを模索させる語り口もいい。
この親密な気配は、まるで手で触れるかのよう
2人の人間がただ座ってなんでもないことを話している時の、その場に漂う親密な気配が、まるで手で触れることができるもののようにリアルに感じられる。この感触はどんな映画の魔法から生まれるものなのか。物語は、どこにでもありそうな出来事と、普通に生活の中で使われそうな言葉で綴られていくのに、最終的に稀有な美しい物語になる。
そんな物語なのに、その中で現実にあるさまざまな問題が提示され、それが微妙なバランスで配されている。生きていく中で何を優先するのか。友人であることはどういうことなのか。自分の信条を否定する人々にどのような態度で臨むのか。そんな問いの数々が、静かに投げかけられてくる。