グッドライアー 偽りのゲーム (2019):映画短評
グッドライアー 偽りのゲーム (2019)ライター2人の平均評価: 3
爵位持ちの名優たちが織りなす大逆転
このキャスティングだから当然といえば当然だが、英国を代表する名優ふたりの演技合戦を楽しむ映画。
ドラマのテイストもそれに寄せたのだろう。前半をリードするマッケランが、妥協しない強欲な詐欺師を軽妙に演じており、その軽さは時にユーモラス。しかし、後半にミレンが攻める側になると、テイストは一変し、シリアスの度合いを深める。
冗談を話していたら相手が全力でマジメに返してきたような、この転換が大胆過ぎて少々面食らったが、このふたりのキャスティングなら、それも腑に落ちる。それほどまでの役者の説得力。さすが、サーとデイム、演技の筆圧が強い。
名優2人が熟練の技を見せつける
ベテラン詐欺師が資産家の未亡人をカモにしようと接近するが、その2人を演じるのがイアン・マッケランとヘレン・ミレンなのだから、もちろん、事態は思ったようには進まない。このキャスティングからある程度ストーリーが予測されてしまうので、それを踏まえた展開もあるが、むしろ、この名優2人の演技対決を見せるためのストーリーを探して、この原作を見つけたのではないか。現在の実年齢は、マッケラン80歳、ミレン74歳。どちらも実年齢相応の人物を演じて、2人とも主役。バリバリの現役ぶりと、熟練の技を見せつけてくる。音楽が「スリー・ビルボード」「キャロル」のカーター・バーウェルで、その少し切ない旋律が余韻を残す。