チャーリーズ・エンジェル (2019):映画短評
チャーリーズ・エンジェル (2019)ライター6人の平均評価: 2.8
エンジェルの魅力と時代が求めるテーマの化学反応
ヒーローたちが女性であることの意味を、過去のシリーズ以上にアピールする作り。アクションのキレ味は鋭いし、「お待ちかね」の変装の楽しさ、パーティー&ファッションの華やかさ、ハイテクとアナログの両面を揃えたスパイガジェットの効果、さらに歴代エンジェルの特別出演までサービス精神は充実している。
「美人なら(相手を)油断させられる。ブサイクなら放っておかれる」というセリフが示すとおり、セクシーで美しく強いという価値観はエンジェルの伝統であり、揺るぎない魅力。しかしテーマが「今」を強調した分、その価値観には皮肉や古くささがつきまとう。そこに作品全体の迷いも感じられ、突き抜けた勢いに時折ブレーキがかかる。
色気控えめ、強さも弱さも見せる現代的ヒロイン活劇へ
オリジナルのTVシリーズからD・バリモア版のリメイク、そして本作へ。これはリメイクではなく、それらを踏襲し、なおかつ♯Metoo時代を見据えた正統派の続編だ。
ヒロインたちの個性が重視され、それぞれ弱みと強みを持っているキャラクターは、ヒロイン・アクションを当事者=女性の手に引き戻そうとする試み。以前のお色気感は抑えられ、あくまで戦う女性ありきで物語が進行する。
能天気な味があった前作までのファンには不満もあろうが、大企業時代を生きる今のヒロイン・アクションと割り切れば、かなり楽しめる。個人的推しは、強くてタフで、立ち姿も凛々しいエンジェルを演じた新星エラ・バリンスカ!
メッセージを前面に出し過ぎた感はあり
まさしく#MeToo時代に相応しい新生『チャーリーズ・エンジェル』。女の子が強くて賢いって悪いこと?そんなこと言ってるヤツはぶちのしてやるからね!と言わんばかりに、3人の美しきエンジェルたちが新たな戦争ビジネスを企む男たちの悪事に挑んでいく。しかも、かつての探偵事務所は今や国際的な女性エージェント組織へと成長しており、世界中のエンジェルたちが手に手を取り合って戦うことに。なるほど、考えたもんですな!とは思うものの、惜しむらくはメッセージがストーリーよりも前面に出過ぎてしまい、全体としてちょっと作為的に感じられてしまうこと。これは映画作品として、あまり上手いやり方とは言えないだろう。
“女性は何でもできる!”な美女の大活躍が痛快
お嬢様転じてエンジェルとなったサビーナを演じるK・スチュワートが意外なコメディ・センスを披露し、物語を牽引している。ハードコアな元MI6員やドジな頭脳派といったエンジェルのキャラ設定もわかりやすく、共感度も高そう。アクションはかなり本気度が高く、“女性は何でもできる”を体現する美女たちの活躍がたのもしい。イカしたアクション演技を披露する新星エラ・バリンスカの今後も楽しみ。IT長者や007にとってのQ的な世話係、集客向け配役でしかないN・センティら男優陣の脇役感はもったいなくも思えるが、女性パワーを前面に出すE・バンクス監督の心意気やよし! シリーズ化は無理だろうが、痛快な気分になる楽しい映画。
女子が見て女子がカッコイイ痛快アクション!
これまで男性観客向けだった「チャーリーズ・エンジェル」を、若い女子たちが楽しめる痛快アクション映画として描き直すという、大胆な試み。それに挑戦した「ピッチ・パーフェクト2」のエリザベス・バンクス監督とクリステン・スチュワートら若手女優たちが見事に成功、女子が見て女子たちのカッコよさにシビレる痛快アクション映画になっている。アメリカでの不評は従来のシリーズと同じものを期待すると別モノだからかも。それとも、権力を持つ年配男性キャラたちがみなマヌケで、唯一キュートに描かれる男子役が「好きだった君へのラブレター」の全米女子のアイドル、ノア・センティネオなのが男性観客にウケなかった?
「チャリエン」に何を求めているか、で評価は変わる?
『キングスマン』を狙ったか、ボスレーや組織について、かなり思い切ったことをやってるうえ、ジャクリーン・スミス演じるケリー・ギャレットまで登場。短髪がやっぱり男前すぎるクリステン・スチュワートなど、女子ウケを狙った現代的なアップデートは悪くないが、マックG監督作に比べると、正直ギャグもアクションも控えめ。「チャリエン」に何を求めているかで、評価は変わりそうで、日本では『キャッツ』同様、全米ほど酷評の嵐にならない気も。ただ、美味しいとこ取りのエリザベス・バンクスは『ピッチ・パーフェクト』を成功させた立役者だけに、エンドロールにサクッと流すエピソードでしっかり撮ってほしかった!