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弱虫ペダル (2020):映画短評

弱虫ペダル (2020)

2020年8月14日公開 112分

弱虫ペダル
(C) 2020映画「弱虫ペダル」製作委員会 (C) 渡辺航(秋田書店)2008

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

なかざわひでゆき

誰でも必ずどこかに居場所がある

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 友達の一人もいない孤独なアニオタ少年が、たまたま類稀な自転車運転の才能を備えていたことから、高校の自転車競技部に入ってインターハイを目指すことになる。脇目をふらずがむしゃらにスポーツを頑張る若者と、その姿を温かく見守り刺激を受けていく周りの仲間たち。ある意味で『のぼる小寺さん』にも通じるところのある青春スポ根ムービーだが、こちらはメンバーが一丸となって勝利を目指し切磋琢磨する、チーム競技ならではの一体感のカタルシスが醍醐味であろう。誰でも必ずどこかに居場所がある、理解してくれる仲間がいる。そんな勇気と希望を感じさせてくれる爽やかな口当たりが魅力だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

リアリティ重視の王道スポ根映画

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

主人公・坂道と今泉との出会いからウェルカムレース、インターハイ予選まで、かなり丁寧に描かれる脚色は、吉田玲子による「アニメ版」に及ばなくとも、なかなかの原作リスペクト。駆け引きの面白さもあるCG皆無のレースシーンだけでなく、それぞれのキャラのリアルさも計算されており、そこに『ちはやふる』の横山克らしい劇伴が乗っかることで、誰もが熱くなれる王道スポ根映画に仕上がった。『うちの執事が言うことには』に比べて、ガッツリとキャラを作り上げてきた感のある永瀬廉の坂道も違和感なく、「今日俺」伊藤と京ちゃんによるクールな絡みもあり、これはこれで、二次創作欲を掻き立てられるだろう。

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山縣みどり

若手俳優の体当たりの頑張りに拍手!

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

アニメ化もドラマ化もされているベストセラー漫画の映画版で、魅力は役者が個性的なキャラクターになり切っていること。永瀬康は主人公・坂道の成長をきちんと演じ分けており、見る側の共感を呼ぶ。高校生とは思えない部長役の竜星涼と「〜っしょ」が口癖の巻島を演じる栁俊太郎も印象的だ。そして素晴らしいのが出演陣の体当たり演技だ。ロードバイクに乗るだけでも相当に大変だと思うが、全員が競技選手に見えるように乗りこなしているのは立派。山道やバンクなどでかなり特訓したに違いない。クライマックスのレース場面は手に汗握る盛り上がりで、思わず本気で総北高校を応援してしまった。

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平沢 薫

体を動かすことの気持ちよさが伝わってくる

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 原作は少年漫画誌の人気コミックで、すでにアニメも舞台もTVドラマもラジオもゲームもあるとのこと。それらを見ていないので比較はできないが、作品が多々ある中でこの劇場版が目指したものは何かというと、主人公が感じる純粋に身体を動かすことの心地よさ、自転車によって身体が高速で移動することの気持ちよさ、その時に周囲に広大な自然があることの清々しさを、観客に体感させることなのではないか。それが伝わってきて、見ていると身体を動かしたくなる。
 スポーツものだが、主人公が目指すのは勝つことではなく、誰かと一緒に熱中すること。そして、自分が何かの一部になること。そんな物語なので、汗は大量だが爽快だ。

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村松 健太郎

疾走の中で、得た居場所

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

原作、アニメ、舞台については全く触れずにいたので、初めての弱虫ペダルです。
やや極端なキャラクター創りが気にならなくもありませんが、それでも本気のロードレースシーンはやはり手に汗握ります。
居場所を得られた人間はここまで輝けるのだという、人間の可能性を全肯定する映画になっていてとても気持ちが良くなりました。
主演の永瀬廉はもちろん、伊藤健太郎、橋本環奈、竜星涼、柳俊太郎がいい仕事しています。
気が早いですが、続編が見たいと素直に思いました。

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斉藤 博昭

作品の肝である「誰かと走る喜び」が伝わってくる

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

不朽の名作『ヤング・ゼネレーション』から、最近は『疾風スプリンター』まで、自転車と映画が起こすケミストリーは良好。今作もその傾向に乗り、特に前半、疾走の爽快感とともに「誰かと走る喜び」を感じさせる瞬間が何度も訪れる。設定や展開から、大げさな演技や気恥ずかしい描写に陥るリスクもあったがギリギリ回避。永瀬廉のオタク男子っぷりも適度な振れ幅で、全体の作りは極めて誠実。
箱根駅伝の『風が強く吹いている』などのわかりやすさと違い、チームでのロードレースは、駆け引きやチームワークが複雑に絡むので、実写映画でストレートなカタルシスを誘うのが難しいと改めて感じる。見せ場での心の叫びは実写では過剰な気も。

この短評にはネタバレを含んでいます
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