超擬態人間 (2018):映画短評
超擬態人間 (2018)狂気が渦巻き、視覚的にも精神的にもバイオレント!
『狂視』は激しい映画ではあったが、それが端正に思えてくるほどの藤井秀剛監督の新境地。どこに振れるのかまったく読めず、見る者の心を激しくかき乱してくる。
森の中で目覚めた父子の話と、結婚を間近にしたカップルらの話が平行して展開し、やがて結びつき、血塗られたバイオレンスへ。幼児虐待やマウンティングといった社会性や、人体実験が行われている管理社会も垣間見え、この世界の窮屈さや異常性に圧倒される。
面白いのは複数のキャラが登場するにも関わらず、信用し合っている組み合わせが皆無であること。思いはつねに一方通行で、それゆえに狂気が先行する。何とも恐ろしい物語だ。
この短評にはネタバレを含んでいます