ザ・ルーム (2003):映画短評
ザ・ルーム (2003)ライター2人の平均評価: 2
ぜひ映画館でみんなと見たい映画
「史上最悪の映画」と言われるのには、理由がある。主演と監督を兼任するトミー・ワイゾーが、なぜか金だけはあるために(それがなぜかは不明)、自腹で作ったのが、この映画。経験ゼロの彼が、存在しない自分の演技力を見せつけようとするため、話は薄くて支離滅裂、リアル感はゼロ、シーンとシーンの継続性もめちゃくちゃ。普通ならば誰にも見られずに終わる映画だが、またもや金をばらまいて、L.A.の大通りに看板広告を出し続けたことから人々の好奇心を呼び、定期的に特別上映会が催されることになった。これに参加する人の目的は、ほかの人たちと笑うこと。映画そのものでなく、パーティ気分を楽しむために見る作品だ。
愛と情熱だけで作られた伝説の史上最低映画
その撮影舞台裏のカオスが『ディザスター・アーティスト』として映画化もされた伝説の「史上最低映画」である。噂には聞いていたが、なるほど確かにこれは酷い(笑)。安いオシャレ感満載の陳腐な痴情ドラマはさておき、やはり最大の見どころは監督・脚本・製作を兼ねた主演俳優トミー・ウィゾーの存在だ。とてもエリート銀行員役には見えない胡散臭いルックスに失笑し、ナルシスティックでクセの強すぎる棒読み演技に唖然とさせられ、そんな彼が熱演すればするほど腹がよじれるという世にも稀有な体験が出来る。なんというか、愛と情熱だけで映画を作ったらこうなっちゃったという感じ。それこそがカルト映画として愛される理由なのだろう。