コリーニ事件 (2019):映画短評
コリーニ事件 (2019)ドイツ法曹界の深い闇に戦慄する
ある殺人事件で被告の国選弁護人になった青年の調査を通して浮かび上がる法曹界の闇とハイソな人間の心の奥に潜む人種差別意識が恐ろしい。F・ネロ演じる被告の正義を求める気持ちに心動かされるとともに、ホロコースト以外に対するドイツ人の贖罪意識や正義のあり方、人間が持つべき良心について考えさせられた。戦後のドイツ司法省で職員の大半がナチの残党だったのは『アイヒマンを追え〜』でも描かれていたが、秩序違反法なる邪悪な法律で多くの戦犯が自由になっていたとは!? 原作者シーラッハは弁護士でもあり、祖父がヒトラーユルゲント総裁だった経歴を抜きにしても、法律の欠点に心を痛めていたに違いない。
この短評にはネタバレを含んでいます