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お名前はアドルフ? (2018):映画短評

お名前はアドルフ? (2018)

2020年6月6日公開 91分

お名前はアドルフ?
(C) 2018 Constantin Film Produktion GmbH

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

なかざわひでゆき

人間の無自覚な偏見や差別意識を炙り出す痛快な風刺コメディ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ドイツのリベラルなインテリ家族の晩さん会で、唯一インテリではない弟の放った一言が一同に大きな衝撃を与え、楽しいはずのディナーが喧々諤々の大論争へと発展する。その一言とは、生まれてくる息子にアドルフと名付けるという告白。そう、あのヒトラーのファーストネームである。とはいえ、いくらヒトラーが悪人でも名前に罪はないのではないか?そんな問いかけに端を発した論争は、やがてフェミニズムやLGBT、経済格差へと話題を広げ、次々と家族の秘密や本音が暴露されていく。絶妙なユーモアと痛快なテンポで、人間の無自覚な偏見や差別意識を炙り出す語り口が見事。切れ味の鋭い風刺コメディに仕上がっている。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

参加は無理な怒涛の討論に引き込まれる

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

和やかなはずの家族夕食会が参加者の爆弾発言で、喧々諤々の討論会に早変わりし、矢継ぎ早に進む会話の妙を楽しむドラマだ。ドイツ人にとっての名前の意義をはじめ、彼らが抱えるナチズムへの反省や哲学や文学に裏打ちされた思想論、心の奥に秘めていたディスまでが次々と爆発。秘密や思いやりの嘘が人間関係にもたらすインパクトに気づかされ、あれこれ考えてしまう。口調や考え方でキャラの人間性を伝える脚本が上手いし、役者陣も好演。雪崩式にトラブルが起こる展開には新しくはないが、音楽家の秘密が暴かれた後は「どう決着つけるの?」と不安に!? その分、オチを楽しめた気がするので、監督の狙いにまんまとハマるのをお勧めします。

この短評にはネタバレを含んでいます
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