バルーン 奇蹟の脱出飛行 (2018):映画短評
バルーン 奇蹟の脱出飛行 (2018)ライター2人の平均評価: 3
本当にあったミッション・インポッシブル
ドイツが東西に分かれていた冷戦時代に起きたハリウッド映画のような亡命劇だ。主人公ピーターは平凡な市民で、一度は失敗するが自由への希望捨てがたく、奇想天外な国境越えに再度挑む。秘密警察が包囲網を狭めるなか、ピーターたちは地道にミッションをこなしていく。作戦が後半に差し掛かると危機、また危機の連続で。スリリングさが加速し、見ているこちらの緊張Max。結果を知っていても、ハラハラしてしまう。自身も東から西に亡命したT・クレッチマンが秘密警察の中佐を演じていて、本物に監視されたことがある彼ならではのリアリティ! 亡命者の後日談も実はいろいろあったようで、それも映画になりそう。
シブすぎるディズニー映画を、36年の時を経てリメイク
ディズニーが『トロン』と同じ82年に放った、激シブ・サスペンス『気球の8人』のまさかのリメイクだが、ベルリンの壁崩壊以降に、ドイツ映画として作られる意義は、かなり大きい。西を目指す2つの家族と秘密警察シュタージとの息詰まる攻防戦は、『タクシー運転手』の記者から一転、今度は“追う側”となったトーマス・クレッチマンなど、芸達者なキャストの芝居や煽りまくる劇伴とともに引きつけられる。とはいえ、『マニトの靴』『ドリームシップ エピソード1/2』など、ブッ飛んだカルト作を手掛けてきた監督の新作という意味では、一本調子な演出が目立ち、かなり優等生な仕上がりになってしまった感はある。