ジェクシー! スマホを変えただけなのに (2019):映画短評
ジェクシー! スマホを変えただけなのに (2019)ライター3人の平均評価: 3
バカバカしくも愛おしい『ハングオーバー!』節
バカバカしいギャグとリアリティのバランスはコメディのクリエイターなら誰でも頭を使うポイント。その点、本作は絶妙なところを突いてくる。
端末依存という現代人の病を踏まえつつ、スマホとの愛憎を活写。『her/世界でひとつの彼女』の下品バージョンというべきか、スマホとの性描写、AI版『危険な情事』というべきクライマックスなど、ともするとくだらねえと思えるギャグの連打に不覚にも笑った。『ハングオーバー!』チームの巧い仕事。
リアリティを支えるうえで大きな役割を果たしているがストリートでのロケ撮影だ。生活感と美が共存するサンフランシスコの風景に、端末の画面以上に素敵かつ大切なものが見えてくる。
バカとスマホは使いよう?
スマホ依存症で人付き合いが苦手な青年フィルの恋と成長物語で、彼にとってのフェアリー・マザーとなるスマホOSジェクシーが暴走し始めることで笑いが生まれる。OS役の複雑な女心(?)をローズ・バーンが声だけで表現していて、さすがと感心。フィルが偏愛する『デイズ・オブ・サンダー』礼賛や上アパトゥ・キッドのシャーリーン・イーも相変わらずのギークっぷりなどコメディ好きならニヤリとするはず。ただし肝心の主人公が魅力不足かな。彼がいい感じになりかけた美女にある自撮りを送ろうと奮起するシーンの受け取り方で映画の評価が分かれそうな気がする。私は瞬時に冷めました。
ダメ男のロマコメとしては悪くない
一時期のウィル・フェレルぐらいの勢いを感じさせるアダム・ディヴァイン主演作だが、フェレルやいろいろ設定カブりな『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋の作品』のセス・ローゲンと比べてしまうと、やはり芸達者とは言い難い。そのぶん、上司役のマイケル・ペーニャがフォローしており、『デイズ・オブ・サンダー』や『ザ・エージェント』ネタはあるし、キッド・カディの使い方は正しいし、サンフランシスコの風景を楽しんでるうちに、84分経っているだろう。とはいえ、肝心の恋するスマホ「ジェクシー」の暴走劇があまりに一本調子。“テレフォンとのセックス”ばりの掛け合いネタをもっと仕込んでほしかった。