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シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい! (2018):映画短評

シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい! (2018)

2020年11月13日公開 112分

シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!
(C) 2019 HE LI CHEN GUANG INTERNATIONAL CULTURE MEDIA CO.,LTD.,GREEN RAY FILMS(SHANGHAI)CO.,LTD.,

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

森 直人

いろんな意味で安定感抜群!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

楽しい。ジェラール・ドパルデュー主演の『シラノ・ド・ベルジュラック』(90年/監督:ジャン=ポール・ラプノー)と二本立てなら最高のプログラムではないか? ご存じ仏の名作大衆演劇――その誕生秘話をもとにした愉快なドタバタ劇で、すぐにでも新劇の人気演目になりそう。

舞台版の作・演出家であるA・ミシャリクがそのまま監督を務め、語りは盤石。史実ベースの「仕立て」の具合は三谷幸喜に近いと思った。ロマンティック・コメディの古典の舞台裏を、同系の作風と構造で仕立てるワザ。劇場で観ても、正月のお茶の間にもハマるような人懐っこさ。「願望が満たされれば筆は止まる」など創作の秘密(力学)をめぐる名台詞もさらりと。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

芸術を志す全ての人に見て欲しい傑作!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 これは演劇のみならず、映画や音楽などあらゆる芸術を志す人々を励まし鼓舞する傑作と言えよう。過去に幾度となく映画化もされたフランスの名作舞台劇『シラノ・ド・ベルジュラック』の誕生秘話。才能はあれども流行に乗れず燻っていた若き劇作家が、初日までたったの三週間で戯曲を書き上げねばならないという状況に追い込まれる。なるほどと思わせられるのは、創作活動を自分ひとりで行う孤独な闘いだと捉えていた主人公が、情熱的な恋に身を焦がす親友など他者との関わりの中から次々と物語のヒントを得、いつしか大勢の人々を巻き込みながら世紀の傑作を創り上げていくところ。軽妙洒脱でウィットに富んだストーリー展開も素晴らしい。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

こんなことがあったかも、な感動秘話

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

個人的に好きな舞台劇の誕生秘話らしく、非常に楽しめた。スランプ中の劇作家をめぐる物語と劇中劇を並列して進行させる『恋に落ちたシェイクスピア』的な手法で、主人公エドモンドが自身の体験を作品へと昇華していく過程が描かれる。スポンサーであるギャングが愛人の女優を主役にゴリ推しするわ、妻帯者である主人公が親友の恋人にうっかり惚れるわ。戯曲の完成前に次々とトラブル発生で、到底実話とは思えないが、「こんなことがあったかも」なノリにニヤリ。全員が舞台のオープニングに向かって邁進し、クライマックスまで疾走感たっぷり。三谷幸喜作品と言われても納得できる小洒落たテイストだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

"劇場"で人々が右往左往する"ドールハウス"感覚が楽しい

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 名作「シラノ・ド・ベルジュラック」の誕生の裏には、こんな出来事があったかも?という誕生秘話を描くコメディ舞台を、舞台版の作者自身が監督して映像化。モチーフである名作が舞台劇であることへの敬意からだろう、ドラマの中心となる場所を"劇場"にし、"昔々の物語"と"演劇"という二重の枠組みを設けて、その中で古典的かつコミカルな登場人物たちを右往左往させて、ドールハウスでの人形遊びのように映し出す。その作り物感、お芝居感、玩具っぽさが楽しい。登場するのはクセはあるもののいい人ばかりで、物語が思ったように進むのも心地良い。クライマックス近くには映画ならではの演出があり、新鮮な驚きも味あわせてくれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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