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THE BATMAN-ザ・バットマン- (2022):映画短評

THE BATMAN-ザ・バットマン- (2022)

2022年3月11日公開 176分

THE BATMAN-ザ・バットマン-
(C) 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.6

猿渡 由紀

ダークでニュアンスのある、大人の映画

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

個人的にはこれまでのバットマン映画で最高。典型的なスーパーヒーロー映画とはほど遠い、クラシックな探偵物、フィルムノワールで、どのキャラクターにもニュアンスがある。内面が複雑に荒れた状態にあるブルースに、近年「ライトハウス」などインディーズで個性的な役を演じてきたパティンソンの抑えた演技は実にぴったり。そこへ、ポール・ダノの迫真のパフォーマンス!「セブン」の影響を感じさせるストーリーには残忍性もあるが、PG-13とあり、実際に見せることなく、効果的に怖さを感じさせる。「DUNE〜」でオスカー候補入りしたグレイグ・フレイザーが撮るゴッサム・シティはダークかつ美しい。

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くれい響

マット・リーブス監督らしいリミックスの巧さ

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『グッド・タイム』のダメ男の延長線上であり、カート・コバーン要素も入ったブルース・ウェイン。ヴァンパイアから見事に化けたロバート・パティンソンが、周りのクセ者キャラに埋もれない存在感を放つ! 「ゾディアック事件」の犯人をモデルにしたリドラーに、降りやまない雨やゴードン警部とのバディ感といった『セブン』からの影響も見られるため、デヴィッド・フィンチャー監督の影がちらついてしまうのは否めない。とはいえ、「アヴェ・マリア」から「サムシング・イン・ザ・ウェイ」まで流してしまうセンスも含め、『猿の惑星』『モールス』のマット・リーブス監督らしいリミックスの巧さが光る一作に仕上がっている。

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平沢 薫

リドラーの直筆文字が、この世界の美学を体現する

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ブルース・ウェインではなく、バットマンを描く。そして、バットマンというものの本質を、リドラーに指摘させる。そのリドラーにまつわるすべての細部が、この世界の美学を生成する。リドラーが獲物の頭部に巻き付けたダストテープの上に残す文字の、図形のような形象、濁った血のような色。リドラーが被る頭巾のようなものの形態と手触り。リドラーの声の啜り泣きのようなか細さ。このリドラーは、このバットマンに似ている。
 加えて魅了するのが、ゴッサムの街。全バットマン映画の真髄は、バットマンのマントの質感とゴッサムの情景にある。マット・リーヴス監督のゴッサムには、これまでのどのゴッサムとも違う妖しい霞が漂っている。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

荒々しいヤングバットマン登場

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

これまで、思い悩み傷つくことはあっても、ある種の冷静さを忘れなかった映画のバットマンですが、今回はまだまだ粗削りで、揺れ動く心に左右されがちな若者としてのバットマンが登場します。
ロバート・パティンソン演じる完全陰キャラのヤングバットマン=ブルースがとても新鮮でした。
映画はヴィランがリドラーということもあって、今までにないミステリーテイストで謎解きがメインになっています。この謎解きの部分が物語をグイグイと牽引してくれるので、3時間近い上映時間も気にならない作りでした。強引で荒っぽいアクションも含めて新バットマン必見です。

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斉藤 博昭

いちばん近い感覚は『セブン』。そしてロックスターのように

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

ゴッサムシティの要人が次々標的となり、その残虐な手口はサイコスリラーのようで、バットマンとゴードン刑事がパートナーとして捜査を進めるスタイル、そして徹底してダークなムードは、『ダークナイト』とも一味違い、フィンチャーの『セブン』が思い出される。
音楽に乗った映像の流れはロックな気分を誘い、ロバート・パティンソンの、どこか社会から身を背けた虚無感が無性に心をざわめかせる。
アメリカにおけるアジア人ヘイトクライムや、キャットウーマンのセクシュアリティへの想像力喚起と、時代性へのアピールも万全。一方でリドラーのインパクトは想定内か。飽きる瞬間はないが、ストーリーの分量にしては上映時間がやや長いかも。

この短評にはネタバレを含んでいます
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