ハッピー・バースデー 家族のいる時間 (2019):映画短評
ハッピー・バースデー 家族のいる時間 (2019)ライター2人の平均評価: 3
家族とはかくも面倒でややこしきもの
風光明媚なフランスの田舎、とある古い屋敷で母親(カトリーヌ・ドヌーヴ)の誕生日を祝うため、子供たちや孫たちが集まってパーティが開かれるものの、そこへ音信不通だったトラブルメーカーの長女が3年ぶりに帰郷したことから、幸せそうに見える一家が長年に渡って目を逸らしてきた問題や不満や本音が噴出し、賑やかで楽しいはずの集いが修羅場と化す。人間の人生がままならぬように、家族というのもまたままならぬもの。理想の家庭など実は単なる幻想でしかなく、所詮は性格も考えも違う独立した個人の集まりなのだが、しかし家族だからこそ許し合えることがあるのもまた事実。その何とも言えぬもどかしさを、実に生々しく描いている。
この家族の一員になりたいか否かで評価が分かれる
70歳を迎える母親の誕生日を祝うために集まった家族が繰り広げる騒動が破天荒すぎて、一家離散に向かうとしか思えず、セドリック・カーン監督がどう事態を収拾させるのか最後までハラハラしっぱなし。遺産を先に寄越せと要求する長女と映画監督志望(単なるフリーター)らしい次男の無責任ぶりはもう、C・ドヌーヴ演じる母親の育児失敗としか思えない。キャッチコピーは「どんな家族でも、やっぱり愛おしい」なのだが、この家族の一員になりたいとは絶対に思えなかった。唯一まともな、長男の嫁に同情しきりだ。フランス人ならば理解できる家族関係なのかもしれず、共感できるか否かで見る人のフランス度がわかるでしょう。