レベッカ (2020):映画短評
レベッカ (2020)ライター2人の平均評価: 3.5
後半の変更がさらに白々しくさせる
38年に出版され、40年にヒッチコックが映画化したストーリーは抜群に面白い。それをリリー・ジェームズとアーミー・ハマーの美男美女でリメイクするとあれば、外さないはず。と思ったのだろうが、これが退屈なのである。緊張感を一生懸命作り出そうとする役者の演技がどうにも不自然で、衣装やセットがアップデートされているのに古く感じさせる。これは役者でなく監督のせい。主人公の女性を何もしないで待っているだけにしたくなかったのか、最後に探偵もどきの行為をさせるのも、白々しさをプラスしている。40年代版では彼が彼女を本当に愛しているというのがわかったが、そこも弱い。不必要だったリメイク作品だ。
封建的な階級社会に焦点を当てた新解釈版『レベッカ』
妻を亡くしたばかりの大富豪と結婚した名もなき庶民の女性が、社交界の花形だった前妻レベッカの“亡霊”と、いまだ彼女を崇拝する女中頭ダンヴァース夫人に悩まされ追いつめられていく。オスカーに輝くヒッチコック版から80年を経た、ダフネ・ドゥ・モーリエのゴシック・ロマン小説の再映画化。基本的なストーリーの流れはヒッチコック版とほぼ同じだが、しかし身分と名誉、伝統としきたりを重んじる階級社会の息苦しさをさらに強調し、レベッカやダンヴァース夫人も彼女たちなりに闘っていたことをほのめかしつつ、封建的な旧世界の偽善と理不尽に必至で抗う若い女性の物語に仕立てているところはベン・ウィートリー監督らしい着眼点だ。