真・鮫島事件 (2020):映画短評
真・鮫島事件 (2020)ライター2人の平均評価: 3.5
リモートで呪われる
リモート画面、スマホ視点、という完全コロナ禍モードの都市伝説系ホラー。
多少セリフ回しやストーリーの展開に破綻を感じなくもありませんが、POVとはまた違った形の臨場感があって、こういうの作品もありなのかなと思います。基本的にリアルタイムで進行するということと、上映時間自体が短いこともああって、グイグイとストーリーが展開していくのでダれずに見ることができました。
鮫島事件の発端が2000年代初頭だからネット上のノイズ音が思い切りモデム音なのはいいのか?
ヒロインがマスク姿で帰宅して、念入りに手を洗うシーンがあるのには少し笑いました。
今だから……こそのステイホーム・ホラー!
マスク姿の人々が闊歩する冒頭の場面で、“えっ!?”と思ったのは、コロナ禍を描いた商業用映画を初めて見たから。そういう意味では画期的なホラーだ。
物語自体はSNSを題材にしたオカルトで目新しくはないしツッコミどころもあるが、ステイホームが推奨される今見ると新鮮に映る。悪意に端を発する呪いが、ウイルスのように伝染する恐ろしさ。これはまさに2020年の娯楽ホラーだ。
それにしても、コロナ禍でよくぞ撮影を敢行したものだ。基本の物語はリモート飲み会の画面で展開し、役者同士の共演やスタッフの投入は見たところ、最小限に留められている。“今”を俊敏にとらえた映画人の逞しさが見えるのが嬉しい。