ホムンクルス (2021):映画短評
ホムンクルス (2021)ライター2人の平均評価: 3.5
異形と対峙するアウトロー
綾野剛演じる主人公・名越は、原作よりハードボイルドなアウトローキャラになっており、清水崇監督も「恐怖の村シリーズ」よりも相性の良さを感じるほどの世界観。心に闇を抱える人々と次々出会い、視覚化された異形と対峙していくという展開は、どこか深夜ドラマ向けともいえるが、『初恋』を思い起こさせる組長キャラを演じる内野聖陽が圧倒的な存在感を放つなど、この前半パートがとにかく魅力的。それだけに、岸井ゆきの演じる謎のヒロインが登場する本題に入ってからの失速感は否めず、★マイナス。とはいえ、映画オリジナルのラストも興味深く、『ドクター・デスの遺産』にガッカリした人なら楽しめるはず。
見える者が見えるモノ
『呪怨』シリーズの生みの親・清水崇監督が初めて原作モノに手を出したというだけでも事件です。キャスティングは必要最小限に納めらえていますが、誰もが絶妙な演技を見せていて、すべてが有機的に繋がっています。綾野剛という俳優とサスペンスというジャンルの相性の良さは相変わらずで、頼もしさすら感じます。成田凌は相変わらず変な役を嬉々として演じています。石井杏奈と内野聖陽が演じるキャラクターは極端な背景を持ちながら切なさを感じさせます。そして、カギを握る役どころの岸井ゆきの存在の美しさ。実は原作を未読なのですが、一つの映画として十二分楽しめる作品です。