アーカイヴ (2020):映画短評
アーカイヴ (2020)繰り返しの鑑賞に耐え得る美しくも知的なSFドラマ
死者の記憶や意識をAI化して一定期間保存し、残された者と対話が出来るシステム「アーカイヴ」が開発された近未来。最愛の妻を亡くした開発エンジニアの男性が、「アーカイヴ」に残された妻の人格をアンドロイドへ違法に移植することで、いわば「幽霊」を実体化させようとする。愛する者を亡くした喪失感や生への執着を軸としながら、人間の思考や人格とは何なのか、意識と現実の違いとは何なのかを問いかける作品。全体的にスローペースながらも、結末を知ったうえで見直すとまた新たな解釈が出来る脚本はなかなか手が込んでいるし、『ブレードランナー』や『エクス・マキナ』を彷彿とさせるビジュアル・デザインの完成度も非常に高い。
この短評にはネタバレを含んでいます