Style Wars (1983):映画短評
Style Wars (1983)ライター2人の平均評価: 3.5
ヒップホップ草創期の荒々しい熱気が刺激的
当時台頭しつつあったニューヨークのヒップホップ・カルチャーを鮮やかに記録し、ブレイクダンス映画の金字塔『ビート・ストリート』の元ネタともなった伝説的なドキュメンタリー映画。以前にビデオソフトで見たことがあったので気付かなかったが、日本で劇場公開されるのは今回が初めてだという。ブロンクス界隈でくすぶる貧困層の若者たちが、ストリートのアートや音楽、ダンスを通じて自己を表現し、不公平な社会システムへの抵抗を表明する。まだ商業主義に呑み込まれる以前のヒップホップ界隈の荒々しい熱気が刺激的だ。また、ここから枝分かれしたヒスパニック層の若者たちが生んだラテンフリースタイルの栄枯盛衰にも思いを馳せる。
2021年に蘇るグラフィティ文化の黎明期
ヒップホップ文化の萌芽をグラフィティの角度から捉えたドキュメンタリーで、サブカルチャーを生み出した若者vs新しい文化を摘み取る大人の図式が見える。現代アートへと続くグラフィティ文化を作った若きアーティストの考えもそれぞれに異なり、黎明期の混沌と勢いが伝わってくる。彼らの主張もスタイルも個性的でユニークだし、サントラもクール。80年代ファッションも今見ると新鮮。自己主張だった落書きがやがて権威への反抗などのメッセージ性のあるものに進化し、ムーブメントがアートへ昇華したと納得。後にスパイク・リー監督やパブリック・エネミーも流用した 反抗の象徴“Dump Koch“の起源もわかって、ユーレカ!