FUNNY BUNNY (2021):映画短評
FUNNY BUNNY (2021)ライター2人の平均評価: 3
小劇場的な熱と温かさが宿る青春映画
下北沢の小劇場で見る舞台劇のような、勢いのあるセリフの応酬。実際舞台劇の映画化なので、ここは作り手がこだわった点なのだろう。演劇に慣れてない方は現実味の薄い会話に戸惑うかもだが、乗ってしまえば一気に楽しめる。
図書館を舞台にしたミステリアスな前半と、ひとりのミュージシャンをめぐる物語に発展する後半。二幕はいずれも友人の急逝との精神的な折り合いがテーマとなってはいるが、硬さはなくユーモラス。音楽の力もあり、ここぞという場面のエモさの瞬発力が光る。
役者陣の面構えもよく、彼らの持ち味を引き出した飯塚監督の演出も冴える。若者たちの不器用な、しかし必死な側面をとらえた青春劇。好感度は高め。
青臭さもありつつ、ロックでエモい
タイトルからthe pillowsの名曲の影響も感じられる、うさぎの着ぐるみによる「図書館襲撃」から「ラジオ局電波ジャック」へと繋がるミステリー。過去と現在を行き来するなか、前半『スペース・トラベラーズ』、後半『ハードロック・ハイジャック』といった趣だが、独特なセリフ回しや「これが青春だ!」な展開など、いかにも飯塚健監督作らしく、青臭さもありつつ、しっかりロックでエモい。いちばんの見どころは、中川大志と岡山天音の温度差ハンパない2人による掛け合いだが、中川演じる主人公が小説家である必要性があまり感じられないようにも……。飯塚監督が育てた、あの売れっ子俳優も、声のみサプライズ登場!