きみが死んだあとで (2021):映画短評
きみが死んだあとで (2021)今こそ求められる「政治の季節」の理想と情熱
‘60年代末の学生運動が過激化する発端となった第一次羽田事件で亡くなった京都大学の学生・山崎博昭さん。生前の彼を知る学生仲間たち、つまり生き残ってしまった者たちが当時の記憶を辿り、日本中の学生たちが熱く燃えた「政治の季節」を振り返るドキュメンタリー。「真面目に働く人間が報われるような社会にしたい」という素朴な願いを胸に、理想を追い求めて社会運動に身を投じた若者がなぜ死なねばならなかったのか。彼の死後、運動がやがて闘争へと変わり、「まるで旧日本軍みたいになった」という証言も生々しい。確かに若さゆえの過ちは多くあったろうが、しかしその原点となる理想と情熱は今の日本にこそ必要ではないかとも思える。
この短評にはネタバレを含んでいます