グンダーマン 優しき裏切り者の歌 (2018):映画短評
グンダーマン 優しき裏切り者の歌 (2018)東独、ベルリンの壁の記憶がある世代にとっての「国民映画」級
伝記映画であり、音楽映画であり、政治映画。「東ドイツのボブ・ディラン」と呼ばれたワーキングクラス・ヒーローが、なぜ国家体制の暗部に秘密で協力していたのか? この「皮肉な翻弄」を東西ドイツ統一の「前」と「後」を往還しながら示していく。旧ソ連に準ずる(というか連動しての)反転は『グッバイ、レーニン!』と重なり、シュタージ(秘密警察)を扱った名作としては『善き人のためのソナタ』も参照。
映画の組成としては王道。「音」の生っぽい鳴り方も良く、主演のアレクサンダー・シェーアが、グンダーマンに憑依した歌唱と演奏で盛り上げる。ちなみに劇中の半ば頃、ディラン(後ろ姿)も登場するのでお見逃しなく!
この短評にはネタバレを含んでいます