鳩の撃退法 (2021):映画短評
鳩の撃退法 (2021)ライター2人の平均評価: 3.5
現実と願望の曖昧な境界線
地方のデリヘルでドライバーをしている落ちぶれた元直木賞作家が、ひょんなことから手にした大金3000万円の一部を使ったところ、偽札を巡って自らの命を狙われることとなってしまう…という主人公の最新小説を実話ではないかと疑った編集者が、その真偽を確かめようとする。フィクションとリアリティ、過去と現在を自在に行き来していくストーリーの構成は非常に巧妙で、それゆえに呑み込みづらい点も少なからずあることは否めないものの、現実と願望の曖昧な境界線を描いた作品としてユニーク。だからこそ、着地点をあえてハッキリとさせなかったことにも意味がある。
小説は事実より奇なり
事実は小説より奇なりという言葉がありますが、その逆を行ったのがこの映画『鳩の撃退法』。
虚実の境目をかき乱す超実験作と言っていい映画。
軸にいるのはこういう極端な仕組みの物語の主役として圧倒的な信頼感のある藤原竜也。
そういうこともあって、安心して見られると同時に、気持ちよく見ている側の心を混乱させていく。
共演陣に目をやるとやはり豊川悦司の硬軟自在な演技・存在感が抜群。変則的なヒロインの西野七瀬と土屋太鳳も魅力的です。そして風間俊介が絶品です。