戦火のランナー (2020):映画短評
戦火のランナー (2020)今こそのオリンピックの意義も含め、不覚に心揺さぶる瞬間がある
ドキュメンタリーとしてはオーソドックスで真面目な作り。主人公グオルの過酷な運命を、基本的には冷静な視点でたどっていくので、こちらも平静状態で観続けると、唐突に激しく心を揺さぶる描写が何度か登場する。
そもそもアスリートがどんな思いでオリンピックに出るのか。スポーツに国の関係に意味があるのか。グオルの活躍を見て「初めての感情を味わった」と話す子供に、親が返す答えが本作の肝である。
賛否で揺れる2021年東京大会を前に、オリンピックの根本を考える意味でも必見。過去の大会での大観衆シーンは、あまりにも現実と重なって胸が痛くなり、どんなオリンピックの光景を見たいのか、観た人それぞれが考えることになる。
この短評にはネタバレを含んでいます