コンティニュー (2021):映画短評
コンティニュー (2021)ライター6人の平均評価: 3.3
クレイジーなノリが楽しいタイムループ系アクション
正体不明の殺し屋集団から命を狙われ、殺されるたびに同じ一日を繰り返す元兵士が、タイムループ現象の謎と殺し屋集団の黒幕を突き止めようとする。ストーリー的には『オール・ユー・ニード・イズ・キル』ミーツ『恋はデジャ・ブ』といった感じで、同じジョー・カーナハン監督の『スモーキン・エイス/暗殺者がいっぱい』にも通じるクレイジーなノリが楽しい。リセットされるたびに知恵とスキルを付けて勝ち進むという筋書きもよく練られているが、しかし中盤で明らかとなるタイムループの真相は「いくら一か八かの賭けだとしてもリスキー過ぎじゃねえか?」という疑問も拭えず、多少興ざめしてしまうことは否めない。
人間は、トライアル&エラーで成長(なのか?)。
小説「リプレイ」を彷彿させるループ人生を送るハメになった特殊部隊員ロイが人生リセットを繰り返し、徐々にレベルアップしていく展開。死に続けるなかで愛妻と息子が直面している状況を知ったロイが二人を救おうと苦悩するのだが、ゲームっぽくトライ回数が表示されるし、残酷な場面も不思議とコメディ調なので恐ろしさはない。家族を顧みなかった男の罪滅ぼし&人生取り戻し大作戦という側面が強く、事態の元凶である巨悪とのバトルが二の次になっているのがかなり不満。F・グリロだけにド派手なアクションを演じさせず、M・ギブソンにも適正な見せ場を与えて欲しかった。剣の達人を演じるM・ヨーの使い方ももったいなかったな。
タイムループする、もうひとつの“暗殺者がいっぱい”
殺される度に一日がリセットする『ハッピー・デス・デイ』的タイムループに元特殊部隊員を置き、バイオレントなアクションを展開させる。が、そこはカーナハン、『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』のようなユーモアが活きる。
本作もまた“暗殺者がいっぱい”的状況で、主人公の障害となるが、それぞれ個性的でキャラが立つ。とりわけ、ループ中何度も同じキメ台詞を吐く女剣士“観音”のトボケたキャラが味。
近年タフネスと父性愛を併せ持つキャラが続いているグリロだから、主人公像はぴったりハマる。彼の独白が醸し出すハードボイルドな空気も手伝い、奇抜な設定ながらペキンパー作品のアウトローのような味もアリ。
フランク・グリロで、死にゲー体験
ライトな『オール・ユー・ニード・イズ・キル』ともいえるタイムループ映画だが、相変わらず、ケレン味溢れるアクションをノリノリで描くときは快調なのに、マジメにドラマを語ろうとすると、妙に単調になる“暗殺者がいっぱい”なジョー・カーナハン監督作。ネヴェルダイン/テイラー監督作とも異なるゲーム感覚に仕上がっているが、一言で言えば、“予算がかかっている方”のフランク・グリロ映画。そのため、いつも不満なグリロ好きは安心しつつ、女グセの悪さやダメおやじっぷりなども堪能できる。そのうえ、編集でPG12に納まった感もある残酷描写やミシェル・ヨーの詠春拳&剣術など、100分間飽きることはなし。
嬉しい一本
SFタイムループモノでもまだまだ新しい空気感が作れるじゃないかと感じさせてくれる嬉しい一本。
流石はジョー・カーナハン監督ですね。
主演のフランク・グリロのアクションはお見事の一言ですが、演技でも意外なほどに緩急をつけてきます。
ナオミ・ワッツ、メル・ギブソン、ミシェル・ヨーと何気に豪華な共演陣が並んだので、絵のゴージャス感もばっちりです。
ジャンル映画のツボを絶妙に抑えつつ、遊び心と新味を絶妙にブレンドした一本。
何百回も困難に立ち向かう主人公が痛快!
死んでは同じ日を繰り返す『ハッピー・デス・デイ』系タイムループものだが、冒頭からバイオレンス度が高く、スピードも快速。何しろ主人公は『アベンジャーズ』シリーズのフランク・グリロ演じる元デルタフォース特殊隊員で、彼の命を凄腕の殺し屋たちが狙ってくる。主人公が何度も倒され、何度もやり直して敵を倒していくのも、グリロが演じるから説得力あり。主人公のユーモア感覚もナイスで、無愛想でクールな役が多い印象のグリロが新たな魅力を発揮する。彼がなぜ命を狙われるのかという謎解きに、ダメな夫でダメな父親だった自分を変えようとするというドラマがプラスされ、その息子役を彼の実の息子が演じているというオマケ付き。