リトル・ガール (2020):映画短評
リトル・ガール (2020)ライター2人の平均評価: 4.5
人と違うことは許されない罪なのか?
天使のように可愛らしい7歳の女の子サシャだが、しかし生まれつきの性別は男の子。これは、物心ついた時から「女の子として生きたい」と願い続けるサシャと、そんな彼女の望みを叶えるために奮闘する家族の姿を記録したドキュメンタリーだ。その道程は我々の想像以上に険しい。学校の教師や保護者の多くはサシャを邪魔者扱いし、大人を真似る同級生からも苛めを受ける。「子供が普通じゃないのは母親のせいだ」と非難される母親の深い苦悩、そんなママを心配させまいと気丈に振る舞うサシャが感極まって見せる大粒の涙に胸が痛む。人と違うことは許されない罪なのか?どんな時も妹の味方であろうとする姉や兄の優しさにも涙する。
誰もが自分らしく生きられる日が来ますように!
性別違和を感じる7歳のサシャと家族を追うドキュメンタリーで、最も心打たれたのは家族の絆。サシャを守るために猛然と戦う母親と子供の幸せを最優先する父親。姉は妹を守るために強くなりたいと語り、兄は妹を認めない馬鹿な学校と戦うと母を勇気づける。この家族がいれば、サシャは今後も荒波を超えていけると思わせる。肝心のサシャの信頼を得るのは難しかったと思うが、カメラは彼女の複雑な心理を巧みに映し出す。温かい家族に守られる一方で無理解な周囲に傷つけられていたサシャが小児精神科医にぽつりぽつりと思いを語りながら涙を流す場面には胸を締め付けられ、女の子として受け入れてくれる友だちと遊ぶ姿に胸を撫で下ろした。