ハロウィン KILLS (2021):映画短評
ハロウィン KILLS (2021)ライター6人の平均評価: 3.7
マイケルの殺人マシンぶりはシリーズ最凶!
前作の直後から始まる『ハロウィン』シリーズ12作目にして新3部作の第2弾。当然というか案の定というか、ローリーたちに追い詰められたマイケルは生き延びており、ブギーマンの復活を知った町の人々が恐怖のあまり暴走していく。ストーリー自体は最終章となる次回作への繋ぎという印象で、いまひとつ不完全燃焼なことは否めないものの、その代わりマイケルの殺人マシンぶりはこれまで以上。とにかく片っ端から容赦なくぶっ殺していく。積みあがった死体の山は恐らく『ハロウィン』史上最多ではないか。リンジー役のカイル・リチャーズやブラケット保安官役のチャールズ・サイファーズなどオリジナル版キャスト陣の再登板も嬉しい。
強烈スプラッター路線を走りつつ、社会派劇に発展!
1978年の『ハロウィン』の続きとして作られた、2018年版『ハロウィン』で意外だったのはホラー経験のないD・G・グリーン監督の起用。彼がさらにメガホンを取ったこの続編は、その意味をより明確にする。
ドラマを基盤にして殺人鬼マイケルの凶行を絡めるのは前作と同様。新味は、マイケルの正体を追求し、現代の群集心理にも言及する点だ。そういう意味では社会派ホラー。
18年版『ハロウィン』から始まったシリーズは、この後のさらなる続編で完結する。もちろん監督はグリーンで、78年版の鬼才カーペンターと話し合いながら制作を進めているとのこと。本作を見れば、それが楽しみになってくるだろう。
主役は街と住人
思わぬ仕掛けに満ちた前作『ハロウィン』は、シリーズを見事に復活させた傑作ホラーでした。
そして、そこから始まる新三部作の第2作が今作。すでに完結編の次回作『Halloween Ends』も決まっているとのことで嬉しい限りです。
今回の主役はブギーマンでもなく、ローリーでもなくハドンフィールドの街とそこに住み、かつての惨劇を忘れられない住民たち。
マイケル・マイヤーズの恐怖によって混乱する集団のさまは議事堂乱入事件やコロナ禍でのヒステリックな反応を思い起こさせ、やはりこのシリーズは一味違うなと感じさせる。
ハドンフィールドの住民が大挙参戦!
デヴィッド・ゴードン・グリーン監督の“ハロウィン愛”が止まらなかった前作のラストから始まる、新3部作の2作目。前作でサラ・コナー化したジェイミー・リー・カーティスは今回、主演と言えないほどの出番だが、その代わりに、すっかり悪人面なアンソニー・マイケル・ホールら、ハドンフィールドの住民たちが大挙参戦。カーペンター監督版のオリジナルキャラの40年後という設定だけに、マニア心をくすぐりまくりつつ、「やられたら、やり返せ!」な集団心理の恐怖も描いていく。当のマイケル・マイヤーズも観てて心配になるほどの大殺戮を展開。かなり異例の構成だが、最終章に向け、いい感じの橋渡しになっている。
恐怖がノンストップ!勇気ある女性たちに拍手
前作の最後から直接の続きで、同じ夜の話。前作は最初のほうに「嵐の前の静けさ」があったが、今作は最初から最後まで息をつく暇がない。次から次に人が殺され、一体何人死んだのか、途中からわからなくなる。良い人たちも容赦なく超残酷な目に遭わせられ、予測不可能。そんな終始混沌とした中で、自分なりに行動に出る三世代の女性たちのたくましい姿が描かれるのは、とてもいい。人間なのに不死身で感情のないマイケル・マイヤーズは、ハリウッドのホラー史の中でもやはりユニークな存在だ。1978年のオリジナル映画に出てきたキャラクターをもっと連れ戻したのも、優れたアイデア。次に来る完結編が待たれる。
マイケルとは何か。この問いに新たな答を提示する
マイケル・マイヤーズとは何なのか。'78年の第1作『ハロウィン』に、仮面を被り無言で殺戮を続ける存在マイケルが登場して以来、多数の続編がこの問いへの答を試みてきた。本作は、その問いに2021年の今だからこその答を提示することを試みる。時系列は前作直結で、第1作の40年後。第1作の登場人物を前作以上に多数登場させ、第1作に直結するドラマを描きつつ、現在ならではの答を示す。のだが、それを登場人物に直接語らせてしまうところが残念なような。
しかし本作は、その台詞とは別の答も提示しているのではないか。マイケルの最初の殺人現場で起きる新たな出来事もまた、マイケルとは何なのかを描いているように見える。