真・事故物件/本当に怖い住民たち (2021):映画短評
真・事故物件/本当に怖い住民たち (2021)ライター2人の平均評価: 2.5
'80年代的手作り感満載の心霊ホラー×猟奇スプラッター
弱小プロダクションの女性タレント3名がネット動画配信の企画で、過去に猟奇殺人事件のあった曰くつきのアパートに滞在したところ、身の毛もよだつような恐怖に見舞われる。怨念渦巻く心霊ホラーに『悪魔のいけにえ』的要素を加味して園子温風に仕上げたという印象。「本当に怖い住民たち」というサブタイトルがミソですな。人体破壊スプラッターは意外にグロさ控えめなのだが、その’80年代的な手作り感が妙に懐かしく、特にルチオ・フルチ・ファンならベタだけどニンマリするシーンあり。ただ、陰惨さに欠けるため全体的にあまり怖くはない。ラストのオチにも、もうちょっとパンチが欲しかった。
「ゆうばり」出身監督の才能が開花
これまでトホホな海外ホラー映画を配給してきたTOCANAが、懲りずに今度は日本映画を製作。しかも、Youtuberと事故物件という、かなり擦られた題材を扱いながらも、じつはなかなかの意欲作だ。売りであるゴア描写に関しては、冒頭でしっかりツカみ、3人の女優を魅力的に捉えつつも追い詰め、クライマックスでは『死霊のえじき』オマージュが爆発! 低予算を逆手に取った遊び心が功を奏しており、すべては「ゆうばり映画祭」で発掘された佐々木勝己監督の才能が開花したともいえる。余計なドラマなどを排除し、サクッと79分にまとめていることも評価すべき点で、ある意味、阪元裕吾監督の好敵手といえる存在かもしれない。