スクールガールズ (2020):映画短評
スクールガールズ (2020)ライター2人の平均評価: 3
全ての少女たちの未来に幸あれ!
現在では閣僚の半数を女性議員が占めるほど女性の社会的地位が向上したスペインだが、しかし本作の舞台は独裁政権時代の保守的な価値観がまだ根強かったであろう’90年代初頭。規律の厳しいカトリック系女学校に通う少女たちが、都会から来た進歩的な転校生に刺激を受け、やがて自由の意味と自身の可能性に気付いていく。未婚の母親に育てられた主人公セリアもそのひとり。抑圧的な母親に強く反発する彼女だが、しかしシングルマザーに向けられる社会の偏見や差別を知り、旧世代の女性たちの苦難と闘いに想いを寄せる。思春期の少女のささやかな自我の目覚めを通して、世界中の女性の自立と幸福を願う。地味ながらも味わい深い作品だ。
女の子たちのくるくる変わる表情が眩しい
女の子たちがみずみずしい。それを丁寧にまっすぐに映し出す作品なのだが、それだけで見飽きない。監督が女性で、現在ではなく1990年代を舞台に、その頃の自分たちの気持ちや行動を描いているからだろうか、女の子たちが実体を持ち、息遣いが近くに感じられる。姉の口紅を友人たちといっしょに内緒で使ってみたり、ロックバンドの反抗的な歌詞にドキドキしたり、オートバイに2人乗りして理由もなく高揚したり、その一方で、母親に体をくつけて甘えたくなったりもする、誰もが通り過ぎるだろうあの季節。それは、母と自分がそれぞれ別の人間であることを、初めて体感する時期でもある。女の子たちのくるくる変わる表情がただ眩しい。