THE GUILTY/ギルティ (2021):映画短評
THE GUILTY/ギルティ (2021)ライター2人の平均評価: 3.5
舞台をアメリカにしたのがはまりすぎ
ストーリーだけでなくセリフまで、オリジナルとほぼ同じ。だが、この話の舞台にL.A.はぴったりなので、デンマーク映画のリメイクと聞いて驚く人もいるだろう。ネタバレになるので書けないが、最後にわかることが今のアメリカにおいてあまりにもタイムリーなのだ。だからこそ「デンマークでもそういうことがあるのか」と、サプライズで新鮮だったのだが。オリジナルを見てすぐにリメイク権を買ったギレンホールには、演技の見せどころがたっぷりの美味しい役。そこはストーリーを知っていても見る価値はある。オリジナルは予算のない中で作るのに最高のアイデアだったが、これはパンデミック中に作るのに最適だった。
オリジナル版をほぼ完コピ。それでいい? それもいい!
2018年の同名デンマーク映画は、警察オペレーターが聴く音声だけで異様な恐怖とテンションを形成。映画ファンを虜にしたが、フークア監督×J・ギレンホールの超骨太を予感させるコンビで、どんな改変に挑むか期待したところ……設定・事件とその流れは、ほぼ完コピ! 要所のセリフがいくつも同じだったりして逆にびっくり。舞台はLAに移動したので山火事が背景になるのが新アレンジだが、カメラは室内のみ。傑作の美点を崩さない敬意が、オリジナル未見の人に斬新なショックを与えるはずだ。
ギレンホールのアップも多用され、長い睫毛にも汗がしたたる前人未到の熱演には、否が応でも心を掴まれ、そこはリメイクの進化部分か。