やがて海へと届く (2022):映画短評
やがて海へと届く (2022)次なるステージに立った中川龍太郎監督
ドラマ版「あの花」や『キミスイ』などで儚さが似合う浜辺美波だが、本作ではそこにちょいビッチ入った大人キャラを演じる面白さ。対する岸井ゆきのの受け芝居は文句なく、東北パートに登場する新谷ゆづみも、『麻希のいる世界』とは異なるリアルな芝居を魅せる。そんなキャストだけでなく、挿入されるアニメやマジックアワーを狙った撮影、帽子やビデオカメラなどの美術……。随所に渡るこだわりが功を奏しており、喪失と再生をテーマにしたシスターフッド映画に見えつつ、“とにかく優しい”中川龍太郎監督作に着地している強みは大きい。
この短評にはネタバレを含んでいます