きみは愛せ (2020):映画短評
きみは愛せ (2020)いつの時代も「愛だろ、愛っ。」
劇場デビュー作『愛うつつ』に続き、葉名恒星監督が“愛しているからこそ抱けない”男を描きつつ、観る者に愛について問う青春群像劇。冬の金沢の街並みやビル屋上でのロケーションなどは味わい深く、『佐々木、イン、マイマイン』を経た細川岳は、どこか満たされない遊び人という、今度はなかなか共感しにくいキャラだが、もはや武器ともいえる切ない笑顔で好演。とはいえ、胸が締め付けられる物語を引っ張るのは、彼の妹を演じる兎丸愛美の存在感。とにかく『COME & GO カム・アンド・ゴー』に続いて、幸薄女の色気が半端ないのだ。それだけに、彼女の共依存の対象となる“権力者”に魅力を感じないのは悔やまれるところ。
この短評にはネタバレを含んでいます