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ツユクサ (2022):映画短評

ツユクサ (2022)

2022年4月29日公開 95分

ツユクサ
(C) 2022「ツユクサ」製作委員会

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

くれい響

平山秀幸監督が紡ぐオトナのラブコメディ

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

小林聡美がヒロインを演じる日常系の話だけでなく、隕石衝突から始まるシュールな展開や印象的な食事シーンなど、まるで荻上直子監督作のようだが、じつは平山秀幸監督作というのが大きなポイント。得意とするドロドロした展開はないものの、人間を丁寧に描くことで、オトナのラブコメディに仕上げている。五郎ではなく、吾郎な松重豊との化学反応や小林啓一監督作とは違う桃月庵白酒の使われ方にも注目だが、やはり工場の仲良し三人娘を演じる小林、平岩紙、江口のりこによる絶妙な空気感! 「やっぱり猫が好き」の新シリーズを作ってほしくなるほどの完璧さである。また、西伊豆町の宇久須港などのロケーションも癒し効果アリ。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

人生に迷った大人の背中をそっと押すような作品

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 舞台は平和で平凡な海辺の田舎町。工場で働く中年女性・芙美を主人公に、それぞれに複雑な事情を抱えた大人たちの穏やかな日常が、淡々としたタッチで綴られていく。人間誰しも生きていれば、辛いことや悲しいことにぶち当たるもの。罪の意識に囚われてしまうことだってあるだろう。しかし、それでも人生は否応なく続く。ささやかな幸せを求めたってバチは当たらない。一見して取り留めのないエピソードを積み重ねながら、人生に迷った大人たちの背中をそっと押してくれる映画と言えよう。小林聡美に平岩紙、江口のりこという仲良し3人組の顔合わせがまた絶妙だ。これぞドリーム・キャスト!

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

平穏な日常、それでも奇跡は起こる

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 小林聡美の主演、海のビジュアルから『かもめ食堂』『めがね』の線を想像したが、軽やかさはそのままに、地に足のついた物語が展開。

 海辺の街の心地よい風景に、監督が「チッチとサリー」をイメージしたという小柄なヒロインと長身の男性のラブストーリーが溶け込む。女性同士の井戸端会議などの描写からにじむユーモアや、ヒロインと少年の交流の温かさも効いた。

 キャラが魅力的に見えるのは、彼らに生活感が宿っているからこそ。隕石墜落というファンタジーをとっかかりにしながらも、リアルで、それでいて風通しがよい人間ドラマ。役者の味を最大限に引き出した、平山監督の丁寧な演出にも唸らされる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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