フェルナンド・ボテロ 豊満な人生 (2018):映画短評
フェルナンド・ボテロ 豊満な人生 (2018)芸術は楽しくなくてはならない
人間だろうと動物だろうと関係なく被写体を「ふくよかな体型」に誇張して描き、「南米のピカソ」とも呼ばれる芸術家フェルナンド・ボテロの素顔を、本人とその家族、関係者らの証言を交えながら紐解いていくドキュメンタリー。ともすると芸術は難解で高尚なものが良しとされがちだが、それとは真逆の「芸術は楽しくなくてはならない」というボテロの信条には共感する点が多い。その一方で、母国コロンビアの過酷で悲惨な歴史や幼くして失った我が子への想いなど、ほのぼのとした作風の裏に多くの悲しみや怒りが秘められていることもよく分かる。90歳近くなっても衰えぬ旺盛な創作欲にも感服。その自由で豊かな生き方が羨ましい。
この短評にはネタバレを含んでいます