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NOPE/ノープ (2022):映画短評

NOPE/ノープ (2022)

2022年8月26日公開 131分

NOPE/ノープ
(C) 2021 UNIVERSAL STUDIOS

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

森 直人

なんちゅう変な面白映画!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

傑作『ゲット・アウト』『アス』からの怪作方面への飛び具合にびっくり。旧約聖書ナホム書から始まり多様なテクストが映画に組み込まれるが、最たる力点は「映画の起源」問題だろう。それはリュミエール兄弟でもなく、エジソンのキネトスコープにヒントを与えたマイブリッジの連続写真『動く馬』だと規定される。そして馬に乗っていた黒人騎手の末裔を、ハリウッドで牧場を営む主人公の兄妹が自認しているのだ。

となれば、タランティーノの『ジャンゴ 繋がれざる者』を遙か超える西部劇のトラウマ克服的パロディ風刺劇――と単純に読んでもいいのだが、そこに“NOPE”(ありえない)馬鹿力が加わり、「シャマラン枠」まで乗っ取る勢い!

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

不穏な空気から、まさかの胸アツ展開に

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

社会派ホラーのイメージが強いジョーダン・ピール監督が、見事なまでにシャマラン化。暴走する馬やら猿やら、不穏で意味深なカットが続く中、巨大な飛行物体(のようなもの)が襲来。ポンコツチームを結成し、ひと山当てて、「オプラ・ウィンフリー・ショー」への出演を目指す姿はどこか滑稽に見えながら、次第に『ツイスター』のストーム・チェイサーばりに胸アツ展開に突入していく。『スカイライン -征服-』好きにはたまらない謎カットや、いきなりの『AKIRA』オマージュなど、ケレン味たっぷりの131分。クリストファー・ノーラン監督作でおなじみ、ホイテ・ヴァン・ホイテマによるダイナミックな撮影も効果的だ。

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相馬 学

決して見てはいけない何かが、そこにある!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『サイン』を見終わったときにも似た、シャマラン作品を連想させる観賞後の奇妙な感覚。ピールの前2作ほど、ホラーに寄った感はない。しかし不穏度は満点だ。

 テレビのスタジオでサルが暴走する冒頭からして怪しく、さらに撮影所でのウマの暴走が続く。しかし、これらの動物より、さらに恐ろしいモノが空中にいた。主人公の兄妹は監視システムを駆使しながら、これと戦うことになるのだ。

 興味深いのは“見る”ということにこだわっている点。本作では、あるものを“見る”ことが命取りとなる。それが何の暗喩かは観て考えてもらうとして、ピールのスリラー演出が別次元に達したことを評価したい。

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猿渡 由紀

興奮がひと段落した後、いろいろ考えさせる

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

ジョーダン・ピールの監督としてのキャリアで最も野心的な作品。構成自体が独特で、見ながら「これはどういう関係が?」と思わせるのが、なんともうまい。ピールが「本気で怖いUFO映画を作りたかった」と語っているとおり、それらのシーンの迫力は相当なもの。しかし、もっと怖いのはそれとは別のシーンだ。キャラクターは全員しっかりと構築されているが、中でもとりわけ興味深いのは子役時代に得た名声を今も利用しているスティーブン・ユァン演じるキャラクター。いろいろなところにさまざまな意味が込められているのは明らかで、思いきり圧倒され、興奮がひと段落すると、細かいことに思いをめぐらせてしまう。さすがピール!

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斉藤 博昭

あまり深読みしないで、素直に驚き、興奮すればいいかも

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

ジョーダン・ピールなので『ゲット・アウト』『アス』のように社会派テーマを読み取りながら観た方がいいと思いきや、そっち系の挿話もちらつきつつ、今回は物語の本道に身を任せ、スリルとサプライズを満喫すべき。王道SFアクションとして素直にオススメしたい。シャマラン映画のダメなパターンを巧妙化した印象も。近いのはヴィルヌーヴの『メッセージ』。
むしろ本作に貫かれるのは「映画愛」。映画にまつわるネタが物語・設定に美しく溶け込み、何かを撮影することに夢中になる人々の本能&方法が胸を熱くせずにはいられない。その愛を受け止めたうえで、マニア的に数々のオマージュを発見すればよいが、それはあくまでオマケのサービス。

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村松 健太郎

何か凄いモノを見た

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

監督がジョーダン・ピールで主演がダニエル・カルーヤという『ゲット・アウト』のコンビの最新作というだけで魅力たっぷりなんですが…。
良い映画を見ると満足感や安心感、うれしい発見などなど様々な感情が起こるものですが、この映画を見終わった時、久しぶりに”何だか分からないけど、とにかく凄いモノを見た!!”という気持ちが起きました。”サマーイベントムービー”を目指したということですが、そこはジョーダン・ピール、一筋縄ではいきません。何を言ってもネタバレになるので、難しいところですが、可能な限り予備知識を入れずに劇場で圧倒されるのが正しい観方と言えるでしょう。

この短評にはネタバレを含んでいます
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