Zola ゾラ (2021):映画短評
Zola ゾラ (2021)ライター3人の平均評価: 3
煌びやかなリゾート地マイアミの光と影
お互いひと目見た瞬間に大親友となった美しきストリッパーのゾラとステファニ。平凡な日常に退屈していたゾラは、ステファニに誘われてマイアミへ遠征するのだが、そこで違法な売春ビジネスに巻き込まれてしまう。よく知らない相手をうかつに信じると大変なことになりますよ…という教訓みたいなお話だが、しかし肝っ玉の据わったゾラが意外な商才(?)を発揮し、思わぬ方向へと展開していくストーリーは面白い。これが実話だとは、まさしく「事実は小説よりも奇なり」。華やかで煌びやかなリゾート地マイアミの光と影をスタイリッシュに描く点を含め、同じくA24が製作した『スプリング・ブレイカーズ』を彷彿とさせる作品だ。
結構怖い実話をユーモアたっぷりに語る
始まりは、ツイッターの投稿。140個以上の投稿が語る状況に興味を持ったジャーナリストが記事を書き、そこから映画化となった。そんな背景を受けて、映画はソーシャルメディアを見ているような雰囲気が出るようなスタイルになっている。物語はまさに「事実は小説より奇なり」を地で行くようなクレイジーさ。現実には相当に恐ろしかったであろうことも、歯切れの良い脚本とキャストの演技で終始ユーモアをもって描かれる。大胆なシーンにも堂々と挑んだ主演女優ふたりには拍手。「メディア王〜華麗なる一族〜」の役にもちょっと重なる要素のあるキャラクターを演じるニコラス・ブラウンも笑わせてくれる。
主演2人が眩しいポップな風刺コメディ
テイラー・ペイジとライリー・キーオのキラキラ映画といってもいいほど、主演2人が可愛くカッコ良く、魅力的に撮られているが、一言でいえば、『マジック・マイク』の舞台でおなじみ、フロリダ州・タンパに出稼ぎに行く話。ハメを外したばかりにアブナイ目に遭う女子の冒険物語だったり、元々ジェームズ・フランコが製作・監督する予定だったこともあり、同じA24配給作である『スプリング・ブレイカーズ』の二番煎じ感が強いのは事実。かなりお下劣なうえ、シスターフッド映画としても弱いが、音楽や美術センスに加え、Twitterの通知音が効果的に使われているなど、ポップな風刺コメディとして楽しむのがベターといえる。