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炎のデス・ポリス (2021):映画短評

炎のデス・ポリス (2021)

2022年7月15日公開 107分

炎のデス・ポリス
(C) 2021 CS Movie II LLC. All Rights Reserved

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

なかざわひでゆき

'70年代的グルーヴ感が満載のハードなクライム・アクション

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ネバダ州の砂漠のど真ん中に佇む一軒の警察署。とある事情で逃亡中の詐欺師が拘束されたことから、彼の命を狙うプロの殺し屋たちが集まり、深夜の署内は血で血を洗う修羅場と化してしまう。カーペンターの『要塞警察』から大まかな状況設定を拝借しつつ、クレイジーなユーモアとハードなバイオレンスを散りばめたクライム・アクションに仕上がっている。’70年代刑事アクションやブラックシネマからの影響が濃厚で、タランティーノ映画にも通じるファンキーなノリが楽しい。真正サイコパスな殺し屋を演じるトビー・ハスの怪演がインパクト強烈。主演のジェラルド・バトラーやフランク・グリロを食ってしまっている。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

マニアックに走りすぎず、警察内バトルの執念&闘魂をキープ

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

ほぼ限定された空間(しかも孤立無援)で、命知らずの者たちの駆け引きを楽しませるアクション映画という点で見本のような仕上がり。タランティーノの生々しさ、初期ガイ・リッチーのスタイリッシュさを混在させつつ、マニアックになりすぎず、キャラクターの執念や闘魂にドライに集中しているので、見せ場では余計なこと考えさせず、われわれも腹の底からエネルギーが湧き上がる。

ジェラルド・バトラー主演かと思いきや、メイン4人が同等に扱われているので、先が読めないサスペンス感も続く。強いて言えば、空前の危機に立ち向かう新人警官に肩入れしたくなるが、いつしか善と悪の混沌にまみれる快感が、これまたアクション映画の醍醐味。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

クセ者たちの駆け引きがドラマを強力に推進!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 70年代アクション指向らしく『要塞警察』をベースにしながら、お得意の“暗殺者がいっぱい”的な状況を作り出す。そんなカーナハン監督の最新作。今回もエネルギッシュで大いに楽しめる。

 女性警官と詐欺師、暗殺者、そしてサイコパスの殺人狂。彼らが署内の警官を虐殺したり、利用したりしながらバトルロワイヤルを繰り広げるのだが、誰もが個性が尖がっているだけに先が読めない。キャラを活かしたサスペンスの妙。

 製作兼任のG・バトラーを目立たせ過ぎた感はないではないが、カーナハンが描き続ける男の獣性やタフネスにはうってつけの個性。近年のカーナハン作品には欠かせないF・グリロもいい味を出している。

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くれい響

ジョー・カーナハン監督なりの『要塞警察』

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

砂漠地帯の警察署に詐欺師、殺し屋、サイコパスらが一堂に会し、泣く子も黙る四つどもえ展開! これぞタランティーノ・フォロワーの一人として頭角を現し、『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』を撮ったジョー・カーナハン監督の新作である。『ダーティハリー2』のテーマ曲に始まり、明らかに『続・夕陽のガンマン』なイーストウッド・オマージュが炸裂する一方、カーナハンなりの『要塞警察』が心地よい。ベテラン&クセモノ相手に、真の主人公といえる新人警官を演じるアレクシス・ラウダーが大健闘。心理サスペンス要素もあるが、ほかの警官弱すぎ問題などの脚本の粗さも含め、紛れもないカーナハン映画だったりする。

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平沢 薫

暗殺者、サイコパス、警官たちが最後まで騙し合う

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ジョー・カーナハン監督が、彼の『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』の世界に帰ってきた。暗殺者やサイコパスなどクセの強すぎるキャラたち、過激な銃撃アクション、大盛りのユーモアだけでなく、登場人物たちのどこか古風なカッコつけちゃう感じ、イキがっちゃう感じが、あの映画と共通なのだ。そのノリは、カーナハン監督が意識したと語る『ダーティハリー』シリーズなどの'70年代アクション映画にも繋がっていて、作中にオマージュもあり、映像の色調も質感も'70年代。さらにストーリーは技ありで、何が起きているの分からないところから始まり、事態が見えてきても、全員がウソをつくので、最後まで結末が予測できない。

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猿渡 由紀

悪人だらけのスリリングなエンタテインメント

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

個人的にはジョー・カーナハンの作品の中で一番面白かった作品。途中からはいかにも彼らしい過激なバイオレンスがたっぷり出てくるものの、密室でふたりの主人公が言葉のやり取りで緊張感を高めていく前半がなかなかスリリングなのだ。このジャンルにありがちな、ちょっと都合良すぎるかなという展開もあっても、許せてしまう。アクション映画を数多くこなしてきたジェラルド・バトラーにとっても、これは美味しいキャラクターだったはず。今作の彼は違っていて、とても味がある。だが、最も光るのはアレクシス・ラウダーだ。クラシックな雰囲気を持つ今作は、彼女のおかげでモダンになった。そのキャスティングに拍手。

この短評にはネタバレを含んでいます
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