アドレノクロム (2018):映画短評
アドレノクロム (2018)ライター2人の平均評価: 3
血みどろと巨乳とサイケが満載の現代版『イージー・ライダー』?
祖国アメリカに失望したイラク帰還兵の若者が、バイクでカリフォルニアのベニスビーチへやって来たところ、マンソン・ファミリーもどきのサーファー・カルト集団によるドラッグ&猟奇殺人の渦へ巻き込まれていく。『イージー・ライダー』にオマージュを捧げつつ、血みどろスプラッターと巨乳美女とサイケデリック・アートをてんこ盛りにしたトリップ・ムービー。ロジャー・コーマンやハーシェル・ゴードン・ルイス、ラス・メイヤーなどからの影響も濃厚で、チープなグラインドハウスとアートハウスの境界線ギリギリを狙った遊び心に、脈々と受け継がれるアメリカン・カウンターカルチャー映画の伝統を感じる。
トム・サイズモア大佐も吠える!
トラウマに苦悩にするイラク帰還兵と謎のヴェニスビーチ・ギャングのエピソードが軸となる、『ラスベガスをやっつけろ』オマージュから始まる“現代版『白昼の幻想』”。『ノーウェア』までのグレッグ・アラキ監督作の雰囲気も漂うが、仮タイトルが「Miserlou」だったことからも分かるように、『デス・プルーフ』『ナチュラル・ボーン・キラーズ』あたりのタランティーノ・フォロワーであるのは確か。しかも、イラクの回想シーンでは、トム・サイズモアが大佐役で登場し、お約束の罵声を浴びせる! 無茶苦茶な一作であることに間違いないが、旧TOCANAレーベルの作品にしては、しっかり作家性が出ているので、★おまけ。