新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり (2021):映画短評
新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり (2021)休むと踊れないダンサーの潜在的恐怖、超過酷な振付での克服
コロナ禍が舞台人にどのような影響を与えたのか、鮮烈なまでに伝わってくる。有名な格言どおり、レッスンを“3日休めば観客に歴然とわかる”ことに恐怖するダンサーの心情が全編に不穏に漂い、6ヶ月ぶりのリフトのシーンなんてスリラー映画のような緊張感。マスクとメイクの関係など細部にも発見多し。最終的に観客が生で観ているかどうかで、いかにパフォーマンスが変わるのかに帰結する。
メインで描かれるのが「ラ・バヤデール」なのも貴重。もともとインパクトの強い瞬間が多い演目だが、ヌレエフの複雑な振付によって、究極のテクニック、シンプルに見えて超ハードな動きも、ダンサーの視点から“挑戦する喜び”としてせり上がってくる。
この短評にはネタバレを含んでいます