パトニー・スウォープ (1969):映画短評
パトニー・スウォープ (1969)ライター2人の平均評価: 4
60年代カウンターカルチャーの熱を浴びる
R・ダウニーJr.の父親が映画監督であったことは知られているが、その作品を見ている映画ファンは少ない。というのもメジャー作品は皆無で、ほとんどがインディーズ。代表作とされる本作もそのひとつだ。
広告業界の狂騒、拝金主義、人種問題など、当時の世相を風刺。ブラックスプロイテーション映画の隆盛以前に黒人を主人公に据えた野心もさることながら、ブラックユーモアを詰め込めるだけ詰め込んで暴発させるユニークな作りも、印象は強烈だ。
ファンキーな音楽も含め、ダウニー父のリベラルかつ自由な感性が伝わる必見作。『イージー・ライダー』の同年の製作で、当時のカウンターカルチャーの熱を知る上でも必見。
カルトの帝王、ダウニーJr.のお父ちゃんは息子よりヤバい!
メルヴィン・ヴァン・ピープルズの『スウィート・スウィートバック』(71年)の2年前、ハリウッドに『イージーライダー』が登場した1969年、奇才ロバート・ダウニー(21年没)が放った低予算爆裂風刺喜劇だ。NYの広告代理店の黒人新社長による「いっそぶち壊せ!」的な大改革。アンダーグラウンドの娯楽作であり、「同胞意識」を持つジョナス・メカスも困惑しつつ賞賛した。
冒頭ヘリからの空撮、異常なカメラワークの格好良さ、ファンキーな音楽の乗せ方など全てが才気のかたまり。本作並びにシニアの信奉者代表があのPTAであり(御大は『ブギーナイツ』と『マグノリア』に出演)、『リコリス・ピザ』は彼に捧げられている。