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アメリカから来た少女 (2021):映画短評

アメリカから来た少女 (2021)

2022年10月8日公開 101分

アメリカから来た少女
(C) Splash Pictures Inc., Media Asia Film Production Ltd., JVR Music International Ltd., G.H.Y. Culture & Media (Singapore).

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

なかざわひでゆき

親の都合に振り回される少女の孤独と家族の再生

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 親の都合でアメリカから帰国した13歳の少女ファンイーは、排他的で校則の厳しい学校や狭い住環境など台湾の息苦しい日常に不満を抱き、自由で広大な米国への郷愁を募らせ、やがて自分たちの事情に子供を巻き込む両親へ怒りの矛先を向けていく。監督自身の体験を基にした半自伝的な作品だが、帰国子女だった筆者にも主人公の気持ちが痛いほどよく分かる。と同時に、大人となった今は彼女の両親にも共感。人生はままならぬことの連続。親だって完璧じゃない。今を乗り切ることに精いっぱいで、我が子に寄り添えないこともある。だが、それを子供が理解することは難しい。そのジレンマをリアルに描きつつ、壊れかけた家族の再生を描く佳作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

『はちどり』好きならおススメ!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

英語タイトル「American Girl」から受ける印象とは正反対といえる繊細さ。半自伝的な物語を描いた新鋭ロアン・フォンイー監督の才能を目の当たりにする。なかなかヘヴィな題材を扱いながら、シリアスになりすぎない家族ドラマとしては『フェアウェル』『ミナリ』などに近い感触。だが、癌によって母を失うかもしれないという恐怖、新たな環境に置かれたことでの不安や葛藤など、思春期の少女の心の機微を描いた成長物語という意味では『はちどり』に近い。金馬奨(台湾アカデミー賞)で新人監督&新人俳優賞のほか、観客賞も受賞したのも納得の秀作であり、スクリーンで観ることにより、さらにジワること間違いなし。

この短評にはネタバレを含んでいます
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