ブラックナイトパレード (2022):映画短評
ブラックナイトパレード (2022)ライター3人の平均評価: 3
良くも悪くも福田雄一監督らしいナンセンス・コメディ
受験にも就活にも失敗し、とてもクリスマス気分どころではない人生負け組の若者が、いきなり黒服のサンタに北極へと拉致され、世界中の子供たちへ配るプレゼントを準備するブラック企業の従業員として酷使される。原作コミックを未読なので、どこまで忠実に映画化されているのかは定かでないが、まあ、良くも悪くも福田雄一監督らしい「コントの寄せ集め」みたいなナンセンス・コメディと言えよう。そういう意味では安心感があるというか、福田作品独特のノリが好きな人であれば気軽に楽しめるはず。ただ、あのクライマックスは果たして映画としてアリなのか?とは思う。
見どころは顔面偏差値が高いキャストによる顔芸
見栄えだけでなく、いろいろとブラックなサンタ企業に就職する主人公の奇妙な日常。陰キャがハマる吉沢亮を始め、やたら顔面偏差値が高いキャストが勢揃いし、変顔などの振っ切った芝居を魅せるあたり、マンガ原作の実写化としては正解。次第に殺伐としていった原作の展開を巧く脚色したのも正解。ただ、「あの人」が演じる妖精・帽子さんの工場シーンなど、急激にコント化するため、楽しい現場の雰囲気が伝わってくる一方、映画としてのリズムが悪くなるのは福田雄一監督作のお約束。今回も、そこにノレないと置いてきぼりを喰らうわけで、『バッドガイズ』のモルモット級にヤバいはずのクライマックスも冗長に感じてしまう。
イズムを楽しむ
福田雄一監督によるブラックコメディ。ファンタジーと現実を行ったり来たりする世界観は得意とするものでしょう。その合間合間に入るギャグに抵抗を感じるか乗れるかでまただいぶ雰囲気、見方は変わってきそうですね。吉沢亮、中川大志の大河ドラマ班は反動からわかりやすいほどぶっ飛んだリアクションを見せます。橋本環奈の漫画っぷりは健在ですね。原作が未完の中でのエピソードとチョイスなので、ややぎくしゃくした感じがなくもないのですが、なかなかない実写で、日本人が主人公のクリスマスファンタジーコメディとして貴重なのでは?