呪餐 悪魔の奴隷 (2022):映画短評
呪餐 悪魔の奴隷 (2022)ライター3人の平均評価: 3.7
怖さも薄気味悪さもグレードアップした『悪魔の奴隷』第2弾!
東南アジア随一のホラー映画大国インドネシアで、空前の大ヒットを記録したオカルト映画『悪魔の奴隷』の続編。前作で病弱な母親と幼い末っ子を失った家族が、忌まわしい田舎の村を離れて都市郊外の国営アパートに引っ越したところ、なんとそこは悪魔崇拝カルトの墓地跡に建てられた場所だった…!今度は暗くてジメジメとした古い集合住宅が舞台で、なおかつ嵐による大停電の中で次々と怪現象に襲われる。不穏な薄気味悪さも悪霊たちの容赦なさも前作から段違いにグレードアップ!臨場感のある生々しい恐怖演出は『女神の継承』を彷彿とさせる。これ単体でも楽しめる作りにはなっているものの、1作目を見ておいた方が話は分かりやすいかも。
恐怖演出の本気度は今回も高め!
インドネシアホラーの本気を伝えた『悪魔の奴隷』の続編。高層アパートが舞台ということもあり『ザ・レイド』を連想したが、こちらは戦場というよりお化け屋敷的。
原っぱにポツンと立つアパートの外観からして異様だし、ダストシュートや階段の舞台設定も巧い。夜の停電という設定下、マッチの火や稲光のフラッシュ効果が生き、チラ見えするオカルト現象にドキっとさせられる。
主人公一家の亡き母が歌う曲のレコードや、失踪した末っ子の存在など、前作を見ていないとわかりにくい部分はあるが、得体の知れない“何か”を見据えた演出は今回も見事で、怖がらせることへの本気度は十分に感じ取れるだろう。さらなる続編にも期待。
定番ネタも文化も全部乗せなインドネシア製ホラー
このインドネシア製ホラーは、多様な要素の山盛り感がユニーク。登場人物たちの顔立ちもこの国の歴史を反映して、南アジア系、東アジア系、西欧系あり。信仰もイスラム教あり、カルト集団あり。ホラーの定番要素も全部乗せ。荒野にポツンと建つ老朽化した高層アパート。その建物が嵐で孤立し、停電が発生。アパート内には、事故による多数の死体。まだ捕まっていない連続殺人鬼。これらが一挙に集中。そんな状況下で、消えたマッチの火をつけ直すと、床に安置されていた死体の顔の向きが変わっている、といった微妙な恐怖が連打され、その数も大量。『悪魔の奴隷』の続編だが、前作の出来事は作中で説明されるので未見でも問題ない。