丘の上の本屋さん (2021):映画短評
丘の上の本屋さん (2021)穏やかで熱い闘士
冒頭から美しい寓話のような雰囲気。リベロ(自由)という名のおじいさんが、丘の上で商売っ気のない古書店を営んでいる。『バグダッド・カフェ』ではないが、ここは「聖域」としての場所だ。店主はシューベルトのアヴェ・マリアを奏でるオルゴールの音を流しながら、不意に発見された当時20歳の女性による1957年の日記帳を読み始める。
お話の柱となるのは、アフリカの小国から来た移民の少年と店主の交流。少年の知のステージを上げていくように推薦本を繰り出すリベロ。それがやたらエモいラストへと高まるように、実はガチで現代の危機感を背に世界へメッセージを放つ“熱作”。例えばリベロいわく「発禁本の普及は本屋の務めだ」!
この短評にはネタバレを含んでいます