ざわめき (2022):映画短評
ざわめき (2022)社会を変えるために立ち上がるのは女性たち
日常的に多くの人々が誘拐され、殺され、放置されるメキシコで、さらわれた娘を母が追う。公開されたばかりの『母の聖戦』と同じテーマを扱っているが、本作では問題の背景にある社会の歪んだ構造を炙り出す。序盤と中盤は絶望感と徒労感から来る静けさが作品を覆っているが、ある事件をきっかけに終盤は一気に燃え上がる。人身売買を行う犯罪組織は麻薬組織とつながり、麻薬組織は警察、検察ともつながり、権力ともつながっている。犠牲者は男女問わないが、社会を変えようと立ち上がるのは女性たちだ。主人公が合流した女性たちのデモ隊が叫ぶ「抑圧的な国家はマッチョな強姦者だ」というシュプレヒコールが印象的。
この短評にはネタバレを含んでいます